聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫
「振り向くなよ、絶対に」
天使様のお言葉にオレ、後ろを振り返れません。
じわりじわりと近づいてくる気配に、脂汗なのか、冷や汗なのか。
とにかく全身が汗ばんでくる。
「少年、武器、出しとけよ」
お札を懐から出しながら、ウリ様が言った。
重たい足音を響かせながら、それはゆっくりとやってくる。
ラッパの音が鳴りだし、それが狭い廊下に反響し始める。
「ウリエル!!」
「りょーかいっ!!」
天使様の呼びかけにウリエル様は振り返り、後方から迫ってくる気配に向かって札を投げた。
バチーンッと電気が弾けるみたいな音が後ろでした瞬間、天使様は扉を一気に押し開けた。
「伏せろっ!!」
って、いきなりそんなこと言わないで―!!
オレは天使様に庇われるようにその場に伏せる。