聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫

「振り向くなよ、絶対に」


天使様のお言葉にオレ、後ろを振り返れません。


じわりじわりと近づいてくる気配に、脂汗なのか、冷や汗なのか。
とにかく全身が汗ばんでくる。


「少年、武器、出しとけよ」


お札を懐から出しながら、ウリ様が言った。


重たい足音を響かせながら、それはゆっくりとやってくる。

ラッパの音が鳴りだし、それが狭い廊下に反響し始める。


「ウリエル!!」

「りょーかいっ!!」


天使様の呼びかけにウリエル様は振り返り、後方から迫ってくる気配に向かって札を投げた。


バチーンッと電気が弾けるみたいな音が後ろでした瞬間、天使様は扉を一気に押し開けた。



「伏せろっ!!」


って、いきなりそんなこと言わないで―!!


オレは天使様に庇われるようにその場に伏せる。
< 160 / 400 >

この作品をシェア

pagetop