聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫
開けた扉の向こうから瘴気にまみれた矢が飛んできて、廊下の壁を抉った。
っていうかさ、それ反則!!
そんなもの喰らったら即死じゃんか!!
「集中しろっ!!」
天使様の一喝にオレはゴクリと唾を飲み込んで、前を見た。
ベッドの上には顔面蒼白の男性が一人、こちらを脅えた瞳で見つめていた。
その傍らに、大きな黒馬にまたがり、矢を構える闇の狩人がいて、オレ達を見下ろしていた。
顔はない。
聞こえるのは獣のような唸り声だけだった。
それでもその声は明らかにオレ達に敵意を向け、目はないのに射殺さんばかりの痛いくらいの視線は感じた。
狩人の弓から第二矢目が放たれる。
その背後の窓にはワラワラとどこからともなくラッパを持った王冠を頂く悪魔たちがやってきて、吼えるようにラッパを吹いていた。