聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫
「あのさあ」
ポツリ。
ワコちゃんの口から言葉がでてくる。
「今までさあ、何度も主役とかやってきたの。演技がうまいからじゃなくて声が大きいから。私の声、大きいの」
確かに、よく通る声だよな。
で、それが悩み?
なわけねーよなぁ。
「いいんじゃないんですか? 小さくて何を言っているのか分からないのよりは、ずっといいと思いますよ?」
「ん? 問題はそこじゃなくってさ。主役級の配役をやると必ず誰から嫉妬を受けるのよ。女の子の世界って複雑でさ。」
あー。
そういうこと。
いや、女子ってこわ。
ってそういう問題じゃなくて。
嫉妬かぁ。
オレはどっちかっつーと嫉妬するほうだけど。
「なんとなく分かる気がします」
追体験のおかげかな。
『神の子 イエス様』が磔になったとき。
あのときの周りの感情はまさにそれだった。
特別な人に対する『嫉妬』『羨望』そんなものがぐちゃぐちゃに絡んだ感じ。
あれを浴びるのは……辛いよなぁ。