聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫

「目を閉じろ」


唐突にんなこと言わないでください。
オレ、女子じゃないのに。


「おまえに見られたままはやりづらい」


すみませんね。
でも、お願いだからそういうセリフは女子に言ってくれ!!


「早くしろ!! バカ者が!!」


逆ギレって……すみません。


キレイなお顔が仁王のようになってるから、オレは観念して目を閉じる。



うーん。
迫ってくる気配で分かるんだけど。

お願いだから、あの二人だけには見られてませんよ―に!!



ゆっくりと触れる天使様の唇に合わせて、頭のずっと上。
雲の先の、もっと上のほうから合唱が聞こえる。


ああ、天使たちが歌っている。

これぞ、命の歌!!


全身の毛が逆立つような感覚に見舞われる。

体から闘志と命のきらめきが溢れだすように。


それは細かな光の粒子となって立ち上り、オレと天使様を包み込んでいく。


ゆっくりと開くオレの目に映るのは、コスプレ用のちゃっちい天使の羽ではなくて。



真珠色に光る白い大きな2枚の翼をその身に宿した高貴な姿のミカエル様で。
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