聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫

グググッ……と力を込めて、カッターをさらに深く突き刺した。



「ギュギュギュルルル……」




動けないはずの首を必死に動かして、それはオレに向かって瘴気の玉を吐き出した瞬間、オレはカッターナイフを抜き去り、その球を避けるように地上へと戻る。


「大丈夫、テンシン君!!」

駆け寄ってくるワコちゃんと隼人に「大丈夫」と返し、振り返る。


ラッパ隊①の右手の甲に亀裂が入り、それは腕をさかのぼり、体や顔に広がっていく。


「前に比べたら時間かからんようになったな」


確かにね。

前は突き刺してから変化が出るまでにかーなーり、時間がかかったから。


「グググググ……」


くぐもったうめき声を上げる悪魔の身体に入った亀裂から虹色の光が漏れ始め、それは一気に悪魔の身体を飲み込んでいく。

もがく悪魔の身体は内から溢れる光の圧力に耐え切れず、粉々に弾け飛んで消える。


「すご……ぃ」


息を飲むワコちゃんに、オレと隼人は思わず笑ってしまう。
< 320 / 400 >

この作品をシェア

pagetop