聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫
「つーか、先生。狙うなら心臓!! 心臓狙って!!」
「分かった!!」
じゃ、とにかく気をこっちに向けさせないと。
どうやる?
鬼ごっこするならやっぱアレだな。
「鬼さんこちら! 手のなるほうへ~!!」
で。
おしりペンペン、あっかんベー。
オレの発想も貧困だけど。
小学生でもこんなんやらないんじゃねーのか?
とも思うけど。
いや、恥ずかしい。
まぢで恥ずかしい。
穴があったら入りたいくらいに恥ずかしい。
しかも。
痛い視線がたくさんあっちからもこっちからも降り注ぐ。
一瞬、静寂があって。
オレはゆっくりと周りを見回す。
隼人が呆れて笑い。
ワコちゃんはもう開いた口がふさがらないってかんじで。
先生の口元はひきつり。
サタナキアと戦闘中の天使様は明らかに侮蔑の視線を送り。
もう一人の天使様は楽しそうに口元をほころばせ。
あー。
これも作戦なんで、そんな目で見ないでくれ。
『グルグルグルグルグルグル……』
低い低い唸り声が近づいて、オレはゆっくり振り返る。
バルバトスが突き刺さるような敵意をこちらに向けている。
作戦、成功みたいね。