聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫
貫いた槍の根元から光が溢れだし、それはゆっくりとバルバトスそのものを包み込んでいく。
槍を抜こうとすれば、その手は煙のように光に溶けだして消えていく。
黒馬のいななきが響いたのが最後。
バルバトスもその馬も、白と黒の煙になって消え去った。
残ったのは銀色に輝く槍一本。
それを拾い上げながら、先生はオレのもとまでやってくると手を差し伸べた。
「立てるか?」
「あ……はい」
オレは素直に頷いて、先生の手を取る。
立ち上がる時に地割れから足を抜く。
「……っつ!!」
地面につけると足にビリっとした痛みが走った。
「ほら、肩貸してやるから。つかまれ」
なんて言う先生の背中が妙に大きく感じた。