聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫
ふっとオレの身体が緊張状態のガチガチな感じから解放されて。
「ひぃぃぃぃっっっ!!」
再び落ちそうになるオレの腕をグッと掴み引き寄せる力に、オレは見上げてしまったのを後悔した。
「今死なれたら困るからな」
ニッコリ。
とってもとっても美しい笑顔で。
とってもとっても怖ーい一言をさらりと言いのけ。
とってもとっても優しい瞳で見つめられ。
なんだかなー。
言ってることと、心で思ってることが違うんだよなって分かっちゃうオレ。
切ないっす。
「そろそろやっちゃってくださいよ。オレ、文化祭楽しみたいっすよ」
「ああ。それには同感だな」
オレをゆっくりと地面に下ろすと、天使様はブンッと剣を振りおろした。
「ゆっくりそこで見物していろ。私の力、見せつけてやる、あの下衆に」
「んじゃ、ばっさりお願いします」
「……が……にいるなら」
「はぃ?」
「なんでもない。では、行く!!」
そう言うと、天使様はきりっと顔を整え、前を見据え。
遠山先生の竪琴の演奏とワコちゃんの盛大な応援歌の中、斬り込んでいく。
炎の剣がサタナキアの額を突き抜ける。
『ガガガガガガガガー―!!』
見にくい叫び声をあげるサタナキアの身体に無数の亀裂が走った直後。
その体は弾け飛び……目を覆う光が溢れたかと思うと。
また、オレの視界は真っ白な世界へダイブした。