聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫

言葉に出したらなんかダメな気がしてさ。

オレ、ちょっと立ち止まった。


そんなオレの数歩先を歩いていた天使様も立ち止り、ゆっくりとオレを振りかえる。


「オレ……」


滲む視界。

泣くなよ、オレ!!

寂しいとか、そんなもん吹っ切れよ!!


「ここへきてよかったって思ってます」


なに言ってんだ、オレー!!

涙出そうなのに、言ってることと頭で考えてることと、心で思っていることとがぐっちゃぐちゃになって。


パニック?


「ほんとはずっと悩んでました。これでいいのか? これが正しいのか? どうすればいいのか?」


天使様はそんなオレをじっと見つめたまま、何も言わない。



「人間越えちゃったとか、マリアの生まれ変わりだとか。そういうこと考えれば考えるほど、オレ、全然前に進めなくて。毎日のトレーニングだとか、勉強だとか、やらされてるものにどっぷり乗っかって。そういうのも考えないようにしようとしてて」


グッと拳に力を込める。

胸の内から湧き上がる、この気持ちはなんだろう?
胸の真ん中が熱くなる、この気持ちはなんだろう?
胸の奥に優しく広がる、この気持ちはなんだろう?


わからない。
わからない。
わからない。


けど。
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