聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫
寮に戻ると、そこには私服に着替えた天使様がいて、壁にもたれ掛りながらそっと窓から外を眺めていた。
なんだかその瞳がちょっと切なく見えるのは、天使様がこっちにきて、少なくともここに愛着を感じたからなんだろうなと思うけど、あえてそんなことは聞かないし、言わない。
「ただ今帰りました。荷物、どうしました?」
オレの帰りに気付いた天使様が振り返り、「もう向こうに送った」と言った。
「オレたちはどう帰りますか?」
「見送られるのも困るからな。この部屋からワープで一気に天林寺家だろう」
便利すぎですよ、ワープ機能。
時間もお金もかっ飛ばしっすね。
「じゃ、オレ着替えますね」
そう言って寝室に置いておいたジャージに着替えようとすると「テンシン」と天使様に呼び止められた。
「ワコにはなにも言わなくていいのか?」
なにを言ってんだ、天使様?
「おまえはワコを好きだったんだろう?」
その言葉にオレの小さなハートちゃん、ドキッと大きく唸った。