聖男子マリア様!? 聖なる騎士と天の歌姫

寮に戻ると、そこには私服に着替えた天使様がいて、壁にもたれ掛りながらそっと窓から外を眺めていた。

なんだかその瞳がちょっと切なく見えるのは、天使様がこっちにきて、少なくともここに愛着を感じたからなんだろうなと思うけど、あえてそんなことは聞かないし、言わない。


「ただ今帰りました。荷物、どうしました?」


オレの帰りに気付いた天使様が振り返り、「もう向こうに送った」と言った。


「オレたちはどう帰りますか?」

「見送られるのも困るからな。この部屋からワープで一気に天林寺家だろう」


便利すぎですよ、ワープ機能。

時間もお金もかっ飛ばしっすね。



「じゃ、オレ着替えますね」



そう言って寝室に置いておいたジャージに着替えようとすると「テンシン」と天使様に呼び止められた。



「ワコにはなにも言わなくていいのか?」



なにを言ってんだ、天使様?



「おまえはワコを好きだったんだろう?」


その言葉にオレの小さなハートちゃん、ドキッと大きく唸った。
< 387 / 400 >

この作品をシェア

pagetop