王子様はイジワル転校生!
工藤君が顔を近付けて、ギロッと睨んで聞いてきた。


でも、心臓は悲しいくらいに落ち着いている…。


――これなら行ける。



「本当、何でもないよ!浴衣の事とか聞かれただけ!あ!そういえば、木下さんと一緒に来てた人見た?優しそうで、やっぱり大人の人って憧れるなぁ」



あえて、工藤君がイラッとしそうな事を言ってみた。


すると案の定、眉間にグッとしわを寄せて、おい!!と乱暴に私の手首を掴んできた。



「ちょっと痛いよっ!!!」



私がそう大声で言ったものだから、視線が集まり、それに気付いた工藤君は舌打ちをして、グイグイ私を引っ張っていく。


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