学園バンビ
「そうっすね。 じゃあ、誕生日プレゼントとかも買いに行ったりしたいから……、今度の日曜日、9月29日なんてどうですか? ちょうど一ヶ月遅れってことで」
「ん、いいんじゃないか? じゃ、計画立てないとな」
ラビ先輩の言葉に俺は大きく頷いた。
誕生日会、と言って思いつくのはケーキ、プレゼント。
うちでは親父がそう言うの好きだから折り紙で輪の飾りを作ったりもした。
でも、そこまでするのもどうかと思うし。
クラッカーはあってもいいよな、それと“アンタが主役!”みたいなたすきがあってもいいかも。
俺はぐるぐると発想を巡らせながら、梅とショッピングモールに来ていた。
「梅は何買うか決まった?」
「え? ぼ、僕はうーん……、実はまだ」
「だよな。俺もぜんぜん分かんなくて」
出てくるのはパーティグッツばっかりで、肝心な蒼乃の誕生日プレゼントは浮かんでこない。
はりきって誕生日会しましょう、なんて提案をしたのはいいけど、言いだしっぺがプレゼントをあげないなんて論外だ(あげる気は満々なのだが)。
何をあげても、“気持ちが嬉しい”って笑ってくれるのは分かっているんだけど、それじゃあダメなんだ。
蒼乃にとって、心から喜んでもらえるようなものじゃないと。
「ケーキは後で買うとして、……最初にパーティグッツ買ったら別行動にしようか」
「そうだね」
お互いに頷き、必要なものを買い揃えて別行動となった(たすきは却下された)。
俺は雑貨屋を巡り、色々なものを見た。
だけど見れば見るほど分からなくて、だいだい蒼乃が喜ぶ物自体思いつかない。
何あげても喜びそうな気もするし、あげなくてただ手紙だけでも嬉しいと笑ってくれる気がする。
ちょっと憂鬱になりながら、同じように雑貨屋を転々とした。