学園バンビ
「わ、すごい」
中から出てきたのはイルカを象ったガラス細工だった。
綺麗に弧を描く背中がキラキラと光っている。
「園田さんは、マーメイドって呼ばれてるから、そ、その……。人魚を探したんだけどなくて、そ、それでイルカにしたんだ」
「凄い、綺麗だね……、ありがとう梅沢君」
「う、うん!」
嬉しそうに笑う梅と玩具を与えられた子供のような顔をする蒼乃。
梅も考えたな、って思って感心しているところに今度は俺の横からラビ先輩が包みを差し出す。
「ほい、おめでとう」
「ありがとう、雪ちゃん」
イルカのガラス細工を丁寧に机に置くと、今度はラビ先輩の包みを開ける。
またしても先を越された感があるものの、俺はじっとその光景を眺める。
包みから出てきたのは四角い木箱だった。
周りは女の子らしい飾り付けを施されている。
「な、なんですかこれ?」
梅が木箱を覗き込むようにして見る。
「開けていい?」
「どーぞ」
恐る恐る木箱に上蓋に手をかけ、そっと開く。
するとそこから流れ出したのは優しい音色。
金属を弾く、陽気な音。