学園バンビ
「蒼乃、おめでとう」
握り締めていたプレゼントを渡すと、蒼乃はふにゃっと笑う。
「ありがとう、陸嵩」
その笑みにどきり、としながらも開けられていく包みから目が離せない。
ピリピリという音が俺の心臓をせかす。
最後のテープを剥がされ、プレゼント自体が露になる。
「……インスタントカメラとフォトアルバム帳?」
そう、カメラとアルバム帳。
俺が陸上部部員の女の子たちに気づかされて買ったもの。
「思い出をね、いっぱい残せたらいいなって」
楽しい事、悲しいこと、自分の好きなもの、嫌いなもの。
全部全部思い出として、残していけたらって。
蒼乃と一緒にいれた時間をこのフォトアルバム帳の中に修めていけたら、きっと何年か立って見るときに懐かしくも嬉しくも思うことが出来るんじゃないかって。
俺も、そして君も喜んで欲しかった。
二人の思い出や、それだけじゃない、梅やラビ先輩、他の人との思いでもいっぱい残していって欲しいから。
だからね、カメラとアルバム帳。
「楽しい事とか、写真にとってこのアルバム帳に残してくれたら嬉しいです」
「……うん」
「えっと、うん。いっぱい思い出作っていこうね」
くしゃ、と笑うと蒼乃が少し泣きそうな顔で此方を見て笑う。
「今日のも思い出だから、いっぱい写真とろうね」
「ありがとう、……ありがと、陸嵩。梅沢くんも、雪ちゃんも本当にありがとう。本当に嬉しいよ」
俺はその蒼乃の感謝の言葉を飲み込み、そして笑う。