学園バンビ
ああ、どうしよう!
今更ノックしておいて、俺は彼女を目の前になんて言ったらいいんだろう。
俺の頭は困惑して、色んな言葉がグルグルと宙を舞っていた。
扉が開き、園田ことマーメイドが立っていた。
なんて言ったらいいんだろうか、ただ申し訳ない気持ちが一杯で口を開く事が出来ない。
「あー、あの? どしたの?」
口を開かない俺を覗きこむようにしてマーメイドが見る。
ああ、もう!
言う事なんて一つだろ!
俺はマーメイドの顔を一瞥して、頭を下げた。
そりゃあ思いっきり。
「ごめん!」
「……は……?」
案の定、素っ頓狂な返答が返ってくる。
理由も言わず頭を下げるんだもん、それ相応の反応だよな。
俺は遠慮がちに頭を上げて、マーメイドを見る。
「俺、その……、マーメイドの事考えてなくてさ。酷いことゆってごめん!」
本当にごめん、と心の中でもう一度謝る。
勝手に被害者ぶってるのだと勘違いをし、マーメイドの苦労もなにも知らずに偉そうなこと言って。