学園バンビ
だけどそれだけじゃない。
彼女は強いくせに弱い。
……ああ、俺が守ってあげなくちゃ。
俺はなぜかそう思った。
そして同時に、俺はこの子が好きだ、と。
少しの沈黙のあと、俺はお茶を注ぎたそうとするマーメイドの手を掴んだ。
マーメイドは驚いてその手を見る。
あ、咄嗟に掴んだ、どうしよう。
俺はせわしなく瞳を揺らし、覚悟を決める。
「俺、あんたが好きだ!」
混乱して“あんた”って言ってしまった事に気づくのはもう少し後だったりする。
暫くの沈黙、時計の刻む音がやけに痛々しく耳に入ってくる。
でも告白したことに後悔はなかった。
「え……、と」
彼女は混乱したように、固まっている。