小春日和

家の近くに来たところで私はあることを思い出した。


「あ!そういえば、私まだ夏目先輩にTシャツ返してませんでしたよね??」

「あれ?そうだっけ?」

「そうですよ!あ~すっかり忘れてた!!」



私が風邪をひいたときに貸してくれたTシャツ。
洗って返すと言ってそのままだった。



「洗濯はしてたんでちょっと待っててもらえますか?」

「分かった!」


そして家に着いた。

家には何故か明かりがついていた。


「あれ?明かり……お母さん帰ってきてんじゃない??」

「……」


私は言葉が出なかった。
また、あの瞳で私を見てくると思うと震え出しそうだった。


「ハル?」


夏目先輩の声に我に返った。


「あ…ちょっと待ってて下さい」


そう言って玄関のドアを開けようとした瞬間……






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