小春日和
私は一ノ瀬君に呼ばれて教室のドアまで行った。
クラスの女子の視線が痛い…
「……何?」
「叶絵から聞くなんてずるくない??」
一ノ瀬君は私の耳元で小さくそう呟いた。
「聞いてないよ…」
あれ?…叶絵って呼び捨て
何で??
周りはざわざわしていて、冷たい声を発してる一ノ瀬君の存在を誰も気づいていない。
「……」
「その様子じゃまだ思い出してないみたいだね…まあせいぜい苦しんでよ!!苦しむだけじゃお前の罪は消えないけどな!!」
『あの~…』
するとあるクラスの女子が一ノ瀬君と私の会話を断ち切った。
ほっとした私だったが、それも長くは続かなかった。
「何かな?」
一ノ瀬君はさっきの声とはまるで違う優しい声で(……いや、周りからすれば優しい声だ)ニコッと笑ってその女子に言った。
「//あのっ!!二人は付き合ってるの??……//」
はあ?
どこをどう見てそんなこと言ってんのよ!!
チラッと一ノ瀬君を見ると一瞬悪そうな顔で笑ったのが見えた。
ヤバい!!!
「ち、違っ…」
私は一ノ瀬君が声を発する前に否定をしようとしたが、遅かった。
「そうだよ♪さっき告白したらOK貰ったんだ!!」
『キャー』
女子達の悲鳴が響く。
「ちょっと!!違うって!!」
私の声は皆には届いていない。