小春日和

私は小・中とバスケ部だった

バスケが好きで好きで、もちろん高校でもバスケ部に入った


そこそこ強かったし、勝ったときの喜びはなにより幸せだった


でも、高校に入学してからの私は本当に不運続きだった


父の会社が潰れてしまい、そのまま父は蒸発


それ以来、母は変わってしまった


家にはめったに帰らない
仕事の資料を取りに戻るだけで私のこの広い家は私しかいない


初めは悲しくてつらかった
家で1人でいるのが怖かった


でも、恐ろしいことにそんな感情はもう完全に消えてしまった


悲しいからって泣いても誰も助けてくれない

母は帰ってこない

だから


そんなもの持っていても無駄なの



つらいって感情持ってる方がつらいから




そして悪いことはさらに続く



入学してバスケ部に入ったのは良いが、私は早々に怪我をした
バスケだからぶつかって転んだり怪我したりするのは当然なんだけど

私はあまりにも痛みが治まらないから病院に行った


医者からはもうバスケはできないと言われた…

手術の話も出たが、これ以上母に期待を持ってはダメだと思った
「大丈夫?」なんて言葉かけてもらいたいって思った
でも、それはただの夢でしかない
現実はもっと厳しい
本当は怖かったのかもしれない…
手術の話をして

ため息をつかれ

心配されることもなく

ただ家を出ていく母を




それを分かっていたのに、期待して…崩れていく私を






恐れていたのかもしれない――――





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