小春日和
「おや?何か元気そうだね」
穏やかな口調で長身、おまけにダンディーで……顔は夏目先輩に似ている。
この人が…夏目先輩のお父さんか…
「おはよう!小春さん、元気になって良かった」
「あ!えっと、はい!あ、おはようございますιι」
私はものすごく動揺してしまった。隣では夏目先輩がクスクスと笑っている。
「とりあえず熱計ってみて!琉架、ちょっと診察するから部屋出て」
「……分かったよ」
夏目先輩は何か言いたそうだったが部屋を出た。
ピピッ
37.1℃
「だいぶ下がったね!良かった良かった!」
「あの……ありがとうございました。いろいろと…」
「ん―……僕は医者だから薬を出したり患者を診察したりしかできないんだ…」
言ってる意味がよく分からなかった
「つまりね、僕は医者として当たり前のことをしたまでなんだ。お礼を言うなら僕ではなく、あいつに言ってほしいな」
あいつ……夏目先輩のことだとすぐ分かった
「一晩中君を看病してたんだ…」
一晩中……どうして
「あいつが珍しく僕に頼み事をしてきたからね……よほどのことだったんだろう」
そんな大袈裟な……ん?そういえば……
「仕事大丈夫ですか?」
「ん?ああ、大丈夫!昨日今日と休みなんだ」
「休みなのに仕事させてしまって…ほんとすいませんιι」
「いいよいいよ!気にしないで!!それに言っただろう?琉架が頼み事なんて珍しいから何か引き受けちゃったんだよね!」
あははと笑う夏目先輩のお父さん……笑った顔はやっぱり夏目先輩に似ていた。
「君のこと大切なんだよ、きっと!!」
「え?いや…それはないかと…」
「そうじゃないとここまでしないと思うよ」
大切……
「小春さん」
「は、はい!!」
改めて呼ばれたからびっくりして声が裏返った。
「これからも琉架をよろしくね!あいつは弱みを人に見せない奴だから…小春さんと似て」
「……」
私の性格って分かりやすいのかな…