刹那よりも限り無く

そして迎えた

退院の日


レイ子が仕事の為
同じ幼馴染みの親友
ユウスケが
かわりに車で迎えに来てくれることになっていた

ユウスケは
タカシが事故にあった時

私が美容師をしていた
サロンに
駆け付けた時以来


会っていなかった

…あの時のことを
思い出してしまうから
辛かったんだ


退院手続きも終り


荷物を持ってロビーで待つ


おじいちゃんおばあちゃんが目立つ


外来受付が混雑していた

ぼぅっと入口を見ていると


硝子の自動ドアのむこうロータリーに


車が止まった


黒と白の
MINI


ドアがあいて
若い男の子が降りてくる

カラーリングしていて少しルーズだが、きちんと手入れされた髪


白いシャツに
グレーのテーラードジャケット

色の濃い細めのジーンズをはきこみ


黒いハイカットの
コンバース


…キレイな子
長い手足だな

私はそう思った


彼のまわりの空気が
止まっている


みんなが彼に注目していた


こちらに来る


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