刹那よりも限り無く
そして

あの日



宿題のノートを
忘れたことに気付いて

誰もいない教室に戻ると

そこにタカシがいた


その 細く長い指に
その時私は
はじめて触れた


幼い頃
離婚していなくなった父の

ごつごつとささくれだった指とは違う


とその時なぜか
そう思った


こうばしい色の夕日が
やわらかにさす教室



その中にいる私達は
セピア色で

まるで
ドラマのワンシーンみたいだった


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