刹那よりも限り無く
うなじから

肩が現われ


…背中が出た


私は少し驚いた


違和感を感じたから


タカシは立ち止まって



頭をたれている



「なに?どうしたの?」

私はタカシの顔をのぞきこむ


すると
タカシがぎゅっと
私の腕をつかんだ


冷たい手…


血がかよっているとは思えないその冷たさ


「さみしいよ」
そういってあげた顔は



あの日霊安室で見た

世界で一番愛しい人
…タカシの
顔だった



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