刹那よりも限り無く

すき焼きをご馳走してから



タカシは
私の家に
ちょくちょく
来るようになった



タカシはどうも
アパレル業界で働いているらしい



仕事帰りに
資料やら雑誌やら
たくさん抱えて
やってきては


「あみるはどの色がいいと思う?」
「どれが好き?」
「どう置かれてたら手に取る?」


と詰問される


わたしは


「はい、先輩
少し考えさせてください」


と真剣に考える


フムフムと
タカシは考えている


黒縁眼鏡をかけている
横顔に


つい
見とれていると


「おい…真面目に考えてるのかよ」



とにらまれる




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