刹那よりも限り無く


「私も若い頃はね
文雄さんと熱い恋をしたよ」


文雄さんとは
康子さんの亡くなった
旦那さんだ


「おじさんと?
聞かせてよ
康子さん、今日はとことん話しよう」


母の鼻歌をBGMに
私と康子さんは
ソファの上でクッションを抱え
向かい合った


「私はね、付き合う前から文雄さんの死線が
見えてたの」


「死線?」


聞き慣れない言葉に
思わずキョトンとした





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