刹那よりも限り無く
「はい、どうぞ」
彼女の前には
ごはんと肉じゃがと
お味噌汁とひじきの煮物
腫れぼったい目で
じっと見ている
「名前
教えてくれない?」
私が聞くと
彼女は肉じゃがのジャガイモをそっと口に入れた
「…おいしい」
一言、つぶやいた
その後も黙々と
ごはんを2人で食べた
彼女はまだ若くて
私が忘れていた
瑞々しさを蓄えている
しばらくして
ふぅーっと息をついて
ごちそうさまを
小さく言った
黙って見ていると
立ち上がって
「…帰る」