刹那よりも限り無く
だんっだんっと
玄関へ歩いていく
…まだ土足だった
彼女は玄関で立ち止まった
「謝らないから」
「…え?」
「名前も言わない
御礼も言わない
靴も脱がない
…シュンもわたさない」
彼女は振り向かない
「あの古かった鞄
私が前にシュンにあげたんだよ…知ってた?」
…あ、あの鞄のこと…
「それが最近
新しいのに持ち替えて
…嬉しそうにしてんだ
許せないよね」
彼女は拳を
握り締める