欲張りなすき・・・
あの人に会いたくて

会えるのが嬉しくて

翔は毎日が楽しくてしょうがない。ついにあの人を見つけたから。そして、出会ったから。
あの人、美月先生に会えるのは、毎週火曜日の午後3時限目。スタイル画の時間。まだ新人なので、お手伝い、助手として翔のクラスにやってくる。


「先生~こんな感じでいいの?」

「えっと、ちょっとここを直すといいわよ」


美月は少し腰をかがめて、翔の鉛筆を借りて、翔のスケッチブックの端にお手本を描く。美しく細い指先が美しい曲線を描いていく。翔にとってこの瞬間が何よりも大切な宝物のように感じた


「あれ?先生腕にはめているブレスレット何の石?きれいじゃん。」

「ふふ、流れ星よ」

「えっと、隕石?」

「じゃあ、ギベオンとそれリビアングラスだ。その茶色は?」

「詳しいのね。サハラ隕石」


そういうと美月は翔のそばを離れ、ほかの生徒のスケッチブックをのぞきながら、指導をして歩く。
翔は、しばらく美月の直したところを見つめ指でなぞる。
「よし!」

翔は一気に絵の仕上げにかかった。

集中していると時間がたつのがすごく早い。翔の幸せな90分はあっという間に終わった。

翔は、教室を出て行く美月の姿を見つめて、(また、明日会いに行くから・・・)と心でつぶやいた。

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