欲張りなすき・・・
「あっ、私ここで降りるね。さようなら」

そういうと美月は電車を降りた。携帯を見ながら改札口に向かう美月の後ろを翔は追いかけた。

「先生、さっさと降りて冷たいなあ。」

美月は驚いた顔をして振り返った。「高柳くんも同じ駅なの?」

翔の家から近い駅は隣だが、翔は偶然の出会いを期待して、毎日自転車でここまで来て電車に乗っていたのだ。

「うん。ここから自転車使っている。先生は?」

「歩いて10分位かな。自転車は何処においているの?」

翔は自転車置き場のあるほうを指差した。美月は逆を指差して、

「私はあっち。それじゃあ、ここで。また明日ね。」

「さようなら、先生」

翔と美月は軽く手を振って別々の方向へ歩き始めた。
< 18 / 61 >

この作品をシェア

pagetop