欲張りなすき・・・

張り込み

翔はビデオと一眼レフカメラをもって夕方から美月の家の前に隠れていた。ストーカーの正体がメガネの男か確かめるために。

今日の美月は友達の結婚式で朝から出かけている。なぜ翔が知っているかというと、昨日、美月が電車で嬉しそうに翔に話してくれたからだ。ストーカーが翔にメモを入れた頃にその話をしていたので、絶対ストーカーも行動を把握しているはずだと翔は考えていた。

(まあ、やつが現れなかったら・・・オシャレした先生の写真でも撮っとくか。振袖着るって言っていたもんなあ)

翔が待つこと1時間。美月のマンションの前に1台の車が止まった。

(路駐か。じゃまだな)

翔は目を疑った。車から礼服に身を包んだ若い男と振袖を着た美月が出てきたのだ。二人は仲良さげに話ながらマンションへと入って行った。

(誰だ!あいつ・・・)

美月の部屋の電気がつく。窓には二人の影が見えた。翔は全身の血液が逆流するのがわかった。

(嘘だろう!違うよ!先生!間違えている!)

翔が美月の部屋を見ていたそのとき、


ギギギーギギギー

耳障りな金属音が聞こえてきた。
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