欲張りなすき・・・
「えっと・・・柏原君のお友達ですか?」

恥ずかしそうに女の子達が話しかけてきた。

「ああ、そうだよ。今日は真治に学校見せてもらっていたんだ。なに?真治の知り合い?」

「あっ、いえ、同じクラスで話したことはないのですが。」

「じゃあ、話しすればいいじゃないか。真治いいやつだぜ!」

そういうと翔は女の子達に席を勧めた。女の子は嬉しそうに「失礼しまーす」と座った。

真治は目の前の光景が信じられなかった。今まで、『暗い』『キモイ』といわれ続け、友達すらいなかった自分が、クラスの女の子達と同じ席でお茶しているのだから。
女の子達の目的が翔だということはわかってはいるがその女の子たちも、翔の友達ということで自分にも気を使って笑いかけて話しかけてくれる。気がついたら自分も笑いながら会話に加わっていた。

「じゃあおれ達そろそろ帰るから・・・」

翔はそういうと自分と真治のコップをトレーに乗せた。「あっ僕が片付ける」真治が言うと翔は、「気にするなよ」と言ってトレーを下げ口に持っていった。

「高柳さん。ありがとうございます。」

「ええ?別に何が?」

「許してもらえて、友達って言ってもらえて・・・」

「そうだよ。友達だから翔って呼べよ。高柳さんなんて痒くなるから。」

「はい」

(これで味方が出来たな。あの男絶対、許さない。)
翔は美月と一緒にいたあの男のことを考えていた。
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