欲張りなすき・・・
「ゴメンね。雄哉君。」愛莉が小さい声で言った。

「いいってことよ。杉浦さんの泣きそうな顔って見慣れているし・・・今日はちょっとひどい顔になっているけどな。」

「ひどい。」愛莉が小さく笑った。

それを見た雄哉は愛莉の頭にぽんと自分の帽子をかぶせた。


「杉浦さん。せっかくだから気晴らしに遊んでいかない?」

「・・・」

「だってさあ。その顔で電車乗るの?俺は別にいいけど、はっきり言ってすごい顔しているよ。」

そういうと雄哉は愛莉に鏡を渡した。

「キャー!ありえない」鏡を見た愛莉がそう叫んだ。

「だろ、それはちょっとやばくない?」

「だめだめ、これじゃあ歩けないよ。今日時間大丈夫なの?」

「ぜんぜん、OK!カラオケでも行こうぜ!」


そういうと雄哉は愛莉にかぶせた帽子をさらに深くかぶらせ、カラオケボックスへ向かった。
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