欲張りなすき・・・
「なんか、違うの・・・」愛莉がようやく喋り始めた。

「何が?違うの?」雄哉が優しい声で聞き返した。

「翔ね。違うの・・・今までと違うの・・・高校の頃と違うの・・・」

「そう。いつころからなの?(美月先生に会ってからか?)」

「春休みから。卒業式の頃は同じだったのに・・・春休みから急に・・・違うの。なんだかわからないけれど違うの・・・」

「そうなんだ・・・(美月先生は関係ないのか)」

「なんだか、翔が離れちゃったみたいで・・・」

「寂しかったの?」

愛莉が小さくうなずいた。

「なんで翔に言わないの?もっと一緒にいたいって。」

「いえない。言っちゃいけないの、翔には。」

「なんで?言いたいこと言わないとわかってもらえないじゃないか。」

「・・・でも、その言葉は翔には言っちゃいけないの。」

「どうして?よくわからないや、おれ。」

「翔ってね。昔からすごくもてるの。でも、友達も大事だから彼女のためだけに時間作ること、あまりしないの。」

「・・・・・」

「そうすると、女の子達は皆翔に我がまま言うの。もっと会いたいって。」

「会いたいって、言うんだ・・・」

「そうすると、皆翔の前からいなくなるの。」

「いなくなる?」

「・・・そう、別れちゃうって事。私、そんな女の子達何人も見ているし、相談も受けていたから・・・だから言えないの。」

「翔の反応が怖いからだね。」愛莉は小さくうなずいた。
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