欲張りなすき・・・
「でもね。瑠璃香ちゃんだけは違っていたの。」

「瑠璃香ちゃん?それって、さっき、翔が言いかけた名前?」

「そう、私の前に付き合っていた彼女」

「・・・」

「2つ年下で、すごく素直で可愛いの。私から見てもすごく可愛くて・・・」

「その子だけ違っていたって?」

「瑠璃香ちゃんが翔、裏切ったの。」

「えっ?」

「翔、瑠璃香ちゃんのことすごく大切にいていたのに、瑠璃香ちゃん、他の男の人と浮気したの。」

「そうなんだ・・・」

「どうしようもない気持ちを抱えて・・・翔は、私のところにきたの。私は翔が好きだったし、私を頼ってくれたのが嬉しかったから。」

「そっか。」

「きっと翔はまだ瑠璃香ちゃんのこと忘れていないんだ・・・だからさっきあわてて病院に行ったんだよ。」

そういうと愛莉はまた、声を出して泣き出した。

「病院に確かめにいく?付き合うよ?」雄哉は愛莉にそういった。

「いい・・・怖い。」

「でも、このままじゃあ、杉浦さんの気持ちのやり場がないじゃないか。どうするの?」

「我慢する。翔が何か言ってくれるまで、我慢する。」

「俺から翔に言おうか?」

愛莉は首を横に振りながら「いいの、待っている」
愛莉のけなげな言葉をきいて、雄哉は愛莉に対する愛おしさが募っていった。

「雄哉くん・・・ありがとう。」そういうと愛莉は涙を拭きながら顔を上げた。雄哉は愛莉の頬にキスをした。

愛莉がきょとんと驚いた顔で雄哉を見た。

「これは今日のカラオケ代だよ。さあ、帰ろうか。もう、大丈夫?」雄哉は笑いながら言った。愛莉は、いつもの雄哉のおふざけでそんなことをしたのだと思った。

(危ない、危ない、もうすぐで気持ち押さえられなくなるところだった。)雄哉は帰り支度を始めた。




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