欲張りなすき・・・
「ねえ、翔、どういうこと?何こっちの世界って?」

「そういうことだよ。」

「訳がわからない。もっとちゃんと話してよ!」

愛莉は思わず大声を上げた。

「落ち着けよ!愛莉。」翔は愛莉の肩をつかんだ。

「瑠璃香・・・自殺しようとしたんだ。」

「えっ?」

「前に話していた毅の彼女って、瑠璃香のことだよ。」

愛莉はあの日の毅の言葉が浮かんできた。『あいつ前の彼氏が忘れられない・・・』『彼氏の元に戻れない・・・』『苦しんでいる・・・』(あれは、翔のことだったの・・・)

「ごめん。瑠璃香が立ち直るまで・・・瑠璃香のそばにいさせてくれないか。」

「それって、別れるって事?」

「ごめん。愛莉。」

「なんで?だって毅君の彼女でしょう?翔のこと裏切って毅君にいったんでしょう。」

「・・・それは、でもほっとけない。」

「同情だよ。翔は同情しているだけだよ。」

「それはわかっている。でも、今は一緒にいてあげたいんだ。だから、ごめん、愛莉」


愛莉はショックで、ただ、立っているのがやっとだった。
「わかっていた。わかっていたわ・・・そんな予感がしていたの・・・」愛莉は小さな声でそういった。

「大丈夫か?愛莉?」

(大丈夫なわけ、ないじゃない。)

「送っていくか?」

(何、別れ話したくせに、私のこと心配するのよ。)

「愛莉!」

(お願い、ほっといて!)

愛莉は翔の手を払いのけ、一人病院を後にした。
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