欲張りなすき・・・
「瑠璃香に初めて会ったのは小学校5年の時。翔と瑠璃香の家の近くの神社のお祭りに行った時、迷子になっていたんだよ、あいつ。」

毅は懐かしそうに、話し出した。

「で、翔と俺とで瑠璃香の親を捜してさあ。そしたら、瑠璃香、俺たちに懐いちゃって、それから俺達、公園とかで時々一緒に遊んだりしていたんだ。」

「そんな昔からの知り合いだったの。」

「ああ・・・」

「瑠璃香が中学に入ったら、自然と会わなくなってきて。俺達が、そんな子いたなあって思い出話にしていた頃、ひょこっと現れたんだよ。」

「ひょこっと?」

「言い方悪かったな。偶然遊びに行った先で再会したんだ。それから何度も3人で出かけて、知らなかったんだよ。俺、二人が惹かれあっているって。」

「・・・・」

「おっ!今の言い方『惹かれあっているって』なんか良くない?」

「古臭いいまわし」愛莉はクスッと笑った。

「まあ、いっか。でさ、俺も瑠璃香が気に入ってさ、翔に仲を取り持ってくれって頼んだんだよ。」

「翔はどうしたの?」

「少し考えさせてくれって、でも結局それがいけなかったんだよな。俺も二人が付き合っているって知っていたらそんなこと言わなかったのに・・・」

「瑠璃香ちゃんが浮気したわけじゃなかったの?」

「違うよ。俺が翔に頼んだんだよ。2人が付き合っていたって知ったのは、付き合い始めてから瑠璃香から聞いたんだ。」




「畜生!!!!」



毅が突然叫んだ。愛莉はびくっとした。

「杉浦さん。お願いだよ、翔恨まないでくれよ。すべて俺が悪かったんだから、頼む」

そう言うと毅は愛莉に向って頭を下げた。


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