欲張りなすき・・・
君を見ているよ。

いつもの朝、君がいない

どんなに悲しいつらいことがあっても、朝はやってくる。翔は落ち込んだ気持ちのまま学校へ行った。

「よお!翔おはよう!」

いつものように雄哉が元気に話しかけてきた。

「おはよう。」

「どうした?なんか元気ないなあ」

「ああ、ちょっとな。」

(あれ?なんか翔の目つき変だな。腫れている?)

「今日は杉浦さんとは一緒じゃないの?」

「・・・・」


(翔の様子がいつもと違う、ひょっとして)

「何かあったのか?お前達・・・」

翔はうつむいて、目線をそらした。

「ひょっとして・・・別れたのか?」

「ああ、昨日別れた。」翔は小さい声で返事した。



「きさま――!!!!!」

雄哉は翔のむなぐらをつかみ殴りかかかった。
翔は何も抵抗しなかった。


「キャー!!!先生!!!」

周りにいたクラスメイト達が驚いて先生を呼びに行った。



「お前なんでなんだよ!なんであんないい子と別れちゃうんだよ!!!あんなにお前のこと好きなのに!!!」

「・・・・・」翔は何も答えなかった。

「何か言えよ!翔!!!」雄哉はもう一度翔を殴った。

「おい!翔!!!なんでなんだよ!!!」


「相川君!なにしているの!」翔達のクラス担任が慌てて止めに入った。

雄哉はかばんを思いっきり机に叩きつけ、「畜生!!!」と叫ぶと、「先生!俺具合が悪いから帰ります!」と教室から出て行った。

「高柳君、いったいどうしたの?大丈夫?」

「はい、大丈夫です。俺が悪いんです。先生。雄哉は何も悪くないです。俺が雄哉を怒らせたんです。」

「でも、殴るなんて。」

「本当に大丈夫ですので、お騒がせして申し訳ございませんでした。」

そういうと翔は何もなかったかのように席について授業の準備を始めた。

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