欲張りなすき・・・

君のために

愛莉は昨日の出来事が夢のように感じていた。
ひょっとしたら、翔と付き合っていた数ヶ月が夢だったのかもしれない。

何もする気になれず、ベッドの上でボーっとしていた。

♪~~~~♪~~♪携帯のベルが鳴る

「翔!!!」

慌てて携帯を見ると、相手は雄哉からだった。


「もしもし」

「あっ、杉浦さん?学校どうしたの?」

「雄哉くん・・・」

「具合悪いの?風邪?熱あるの?」

「違うの・・・なんだか、ちょっとね。」

「ねえ、起きても大丈夫なの?」

「うん」

「じゃあさ、窓から顔、出してよ!」

「えっ?」

愛莉は驚いて窓の外を見た。
そこには、バイクにまたがってこっちを見ている雄哉がいた。

「俺も学校サボっちゃったから、遊びに行かない?出ておいでよ!」
雄哉が笑いながら手招きしていた。

「わかった、これから準備するから待っていてもらえる?」

「やったー!」

「なるべく早くするね。」

「あっそうだ、」

「なに?」

「バイクだからスカートとヒール駄目だよ。いいね。」

「了解!」


愛莉は急いで身支度を済まして雄哉のところへ行った。


「もう!ビックリした。」愛莉がそういうと雄哉は嬉しそうに、

「あっ、笑った。さっきまで泣いていたでしょ。」

「えっ?」

「俺、杉浦さんの顔見るとわかるんだ。」

そう言うと雄哉は愛莉にヘルメットをかぶせてあげた。

「何処に行きたい?好きなところ連れて行ってあげるよ。」

「ありきたりだけれど・・・こういう時は海かな。」

「じゃあ、鎌倉行こうか。」

「嬉しい!」愛莉はためらいがちに雄哉につかまった。

「もっとしっかりつかまっていないと落ちるよ。」
そういうと雄哉は愛莉の手をつかんで後ろから抱きつかせた。

愛莉は、雄哉の優しさが嬉しかった。
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