欲張りなすき・・・
雄哉は愛莉の横顔を見つめていた。

「なあに?雄哉くん」

「元気になったね。良かった。」

「ありがとう。」


「あのさあ、こんなときに言うのってフェアじゃないかもしれないけど・・・」

「なあに?」

「あのさ・・・俺、4月からずっと杉浦さんのこと見ていたんだ。」雄哉は続けた。

「だからさ・・・」

「愛莉って呼んでいいよ。私だって雄哉くんって呼んでいるから。^^」

「愛莉・・・ちゃん・・・うわ!恥ずかしいなあ」

「ふふ^^ なあに?」


2人の間に優しい空気が流れていた。


雄哉は勇気を奮い起こしてついに思いを打ち明けた。

「愛莉ちゃん・・・好きです。始めて会ったときから、ずっと愛莉ちゃんのことだけ見ていました。」

「ありがとう。すごく嬉しい。雄哉くんがいるおかげで立ち直れそうだわ。でも、」

「・・・でも?」

「まだ気持ちの整理が出来てないの。今でも翔のこと考えると涙が出そうなの・・・学校で翔に会ったらと思うと不安でどうしていいかわからない。もう少し時間くれる?」

「もちろんだよ。ごめん変な事言って、」

「謝らないで。本当に嬉しいのだから。それと、お願いだけど・・・」

「なに?」

「私のことで翔と喧嘩しないでね。翔もいろいろ大変だったんだから。」

「えっ!俺、今朝、翔、殴っちゃったよ!」

「ええー!そうなの?」

「うん、殴って、学校から逃げてきた」

ばつの悪そうな顔をしている雄哉をみて、愛莉は思わず笑ってしまった。笑っている愛莉をみて、雄哉も笑っていた。



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