欲張りなすき・・・

地元の友達

翔と愛莉は中学からの付き合い。愛莉は初めて会った時から翔を見ていた。翔の周りにはいつも友達がいた。翔は周りを惹きつける不思議なオーラを持っていた。高校に入ってもそれは同じでいつも友達に囲まれていた。翔にとって愛莉はその友達の1人、気の置けない女友達だった。

愛莉が翔の彼女になったきっかけは、高校3年の時の冬。その時付き合っていた翔の彼女との突然の別れ。傷ついた翔はいつもそばにいる愛莉に癒しを求め、愛莉はそれを受け入れたのが始まり。

翔は今まで彼女がいなかったことがない。女の子がほっておかないからだ。見た目もいい、性格も明るい。そんな翔に女の子はすぐに夢中になる。でも、長続きしなかった。2~3カ月すると翔の隣にいる女の子が変わっていた。愛莉はいつも複雑な気持ちでその子たちを『仲間』として受け入れていた。


「ねえ、翔、今日これからどうする?」

「なんか食べてかね~?」

「いいね。何がいいかな?うち今日親いないから何か買って家で食べない?」

「うーんそうだな・・・愛莉に会うのも久しぶりだしな。」


翔は、愛莉の肩を抱いて歩き出した。愛莉はやっぱり昼間の不安は気のせいだったと、嬉しくなった。


「あれ~翔じゃん!」


後ろから声が聞こえた。二人が振り向くと、そこにはいい色に日焼けした中学の時の同級生がたっていた。


「おっ毅!何しているの?おまえ?」


翔が話しかけていた。愛莉は驚いた。毅とは中学から知っているが、俗にいう『不良』だ。高校へ進学し暴力事件をおこして退学になったって聞いていた。退学になった後はかなりやばいこともしていると噂になっていた。


「あれ?杉浦さん?ひょっとして付き合っているの?」

「まあな。」

「おまえこそ、あの子どうしたんだよ。まだ付き合っているのか?」

「そのことだけどよー翔!聞いてくれよ!!!」

「いいぜ。今、飯食う話ししていたんだ。毅も来いよ!」


愛莉は耳を疑った。(せっかく久しぶりに2人きりになれるのに、友達優先?それも毅くん。苦手だよ・・・というより、友達だったの?一度も話聞いたことないのに。)

翔と毅の関係・・・愛莉は近い将来、身をもって知ることになる。

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