灰色の竜胆


暗闇の中でも逆に目立つような漆黒のスーツを身につけ、
顔面には、鏡のようになっているだけの
それ以外何の装飾もされていない仮面を被った男が、そこにはいた。


彼の顔には、辺りの暗闇と、屈折して歪んだ俺しか写っていない。


「お帰り」


何故か
男が仮面の下で微笑んでいるような気がした。

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