灰色の竜胆



「ここは…あぁ、地獄なのか?」


言われた通り、小声で話す。


「さすがだな。年中飽きもせず妄想ばかりしてただけはあるじゃん。
物分かりがいいね〜」

男は陽気な声で答える。



確かに俺は昔から絵を書くのが好きで、
暇つぶしに漫画もよく書いていた。
内容を考える時は、よく色んな妄想を膨らませたものだ。

出来るだけ奇抜なアイディアを。


そんなワケで、
割と冷静に今起きているコトを、大体予想出来た。

多少イメージが違うが、
こいつは死神に違いない。

陽気なスーツの死神。

こういうのもアリ、だ。


今から生前の罪を裁かれるとしたら…
ここは地獄、というか、一つ手前だな。


天国と地獄の、分岐点ってわけだ。



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