You Love...
それを知っている竜斗は、
あたしをバカにするためにわざわざ止まる。





その数秒後、あたしも止まる。





そのまた数秒後、愛子も止まる。





「相変わらずおっそいなー。」
「・・・うっさ・・い。」





全力疾走したからか、息が荒れて上手くしゃべれない。






しばらくたって、やっと普通にしゃべれるようになった。





「あーもう!疲れた!!」




「体力がねーんだよ、体力。」




「あたしはか弱いから体力ないの!」




「うっわ、自分でか弱いとか言ってるし、コイツ。」




「何さ、自分だって『オレ天才!』とか言ってるくせに。」




「そんなの覚えにねーよ。」





こんな憎まれ口ばっかりの会話だけど、本心じゃない。





楽しくて、楽しくて仕方ない。





歩きつつ、言い合いながら叩き合う。




これが普通で、あたしの一番の楽しみだった。





「あ、オレここで曲がるから。」





「知ってるし。」





「はいはい、じゃーな。」





「うん、バイバイ。」





どんな言い合いをしてたってこうやって分かれるときは平穏に戻る。





「バイバイ」って言うときは心臓が破裂しそうだけど。





「バイバイ、優樹。」




あ、そうだった。


愛子もココで曲がるんだったっけ。






「じゃーね!」
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