蒼い太陽
フィリシアは両手に風を纏い、魔物達に放っていく。

確実に魔物を倒していっている筈なのに、全く終わりが見えなかった。


一瞬の隙が命取りになる、そんな状況であった。


それなのに、フィリシアの心は動揺の渦に飲まれていた。


アヤトと言い合いになってしまったことが、心から離れない。


せっかく誤解が解けたと思ったのに、また信頼を失ってしまったのだろうか?


そんな事を、ぐるぐると考えていた。


そのためか、後ろに迫る魔物に気が付かなかった。


ばっと振り返った時には、既に魔物は鋭い爪をフィリシアに降り下ろしていた。

「━っ」


咄嗟にフィリシアはぎゅっと目をつむり、腕を顔の前で交差して攻撃を受けようと覚悟した。


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