蒼い太陽
【かの者の残し闇の香よ、我にその行く道を示せ】
フィリシアが唱えると、月水晶はパアッと光り輝きやがて一筋の光を放った。
その光は消えることなく、ある一定の方向を示している。
「…あっちか。」
ふらつく足を何とか動かしフィリシアは光の示す方向へ進む。
光はドアを通過していた。
廊下へ出ると、辺りは静まりかえっていた。
真夜中であるため、起きている者はいないようだ。
フィリシアは光の示す方向へ黙々と進む。
すぐに息が上がってしまうため、休んでは進む、ということを繰り返していた。
どれほど経過しただろう。
やがて、中庭の方へと辿り着いた。
その瞬間、魔法を解除していないのにも関わらず杖は再び銀色の光へと姿を変えパァンッという音とともに無数に飛び散り、消失してしまった。