蒼い太陽
「身体が…動く。」


前にこの夢を見たとき、フィリシアの身体は金縛りにあったように動かなかった。


だが今は、身体はフィリシアの思いのままに動く。


フィリシアは女性のすぐ前まで近づき、女性にあわせてぺたんと座り込んだ。


「どうして…泣いているの?」

優しく話しかけるが、女性はただただ泣いているばかりで反応を示さない。


聞こえていないのだろうか…?

じっと女性を見つめていると、突然耳が痛くなる程の大きな人々の声が湧き上がった。


声の主はわからない。


闇の中を人々の声が反響して大きな唸り声にも聞き取れる。


あまりにも耳に痛く響いて、フィリシアは思わず両手で耳を塞いだ。


目の前の女性はその声がすると細い肩を一層縮めて小さくしゃくりあげてしまった。


「なに?」


耳を塞いでもなお、声は不気味にフィリシアの頭の中に響いた。



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