蒼い太陽
フィリシアは、はっとレガートを見た。


レガートはとても悲しそうな顔をしてフィリシアを見つめていた。


「魔力が足りない者はここまで命を消耗するものなのか…太陽族ではこんなことは起こらない。


どうして種族によってこんなにも異なるのか…同じ…ヒトなのに。」


レガートはそっと、フィリシアの頬に手をあてる。


フィリシアはレガートの瞳を見た。


灰色の瞳はフィリシアを通して、まるで誰かのことを思っているようにも感じられた。


「レガート様?」


そんなレガートがなんだか不安になり、レガートの名を呼ぶ。

レガートは名を呼ばれ、フィリシアから手を離す。


「あぁ…すまない。フィリシア、これは君に魔力を与えてくれる。だが、本物の月とは違う。

元の君の完全な状態にすることは出来ない。君の体調を維持するだけで精一杯だろう。


だから、魔力は極力使わない方が良い。いいね?」


「…はい。」


フィリシアは自分の胸元で光る月水晶を眺めながらそう答えた。


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