蒼い太陽
翌朝、目が覚めると老婆の姿はどこにもなかった。


まるで初めから存在などしていなかったかのように。

あまりにも突然で、何が起こったのか理解出来なかった。


そのころから、時折胸にツキツキとした感覚を覚えるようになった。





数年経ち、その不思議な生き物と出会ったのはある日の日が暮れる少し前だった。


老婆が消えてしまった後、生き物など見たこともなかったのに。


それは当たり前のようにフィリシアの前に現れた。


ふわふわした生き物。


思わず固まってしまった。

これは何だろう?


魔物…?


こんな魔物もいるんだ……人を警戒しないなんて。


魔物もまた、フィリシアをじっと見つめていた。



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