蒼い太陽
どうやら、この水はアヤトの命は必要ないらしい。


命を奪われないとわかり安心したアヤトは、水盆に近づき中に沈んでいる族宝を覗き込んだ。




《――――選ばれし者よ。》


「っ!誰だ!?」


突如部屋に響いた声に、アヤトははっと辺りを見渡した。


しかし、誰の姿もない。


水飛沫が轟々と唸りを上げる中、なんと落ち着いた声だろう。

とても低く、どこか威厳に満ちた声だ。




《―我は太陽の元に生まれし者。そなた達からは族宝と呼ばれているな。


…この水の中で長い眠りについていた。やがて訪れる、変革の時に備えて。》




「変革…?」


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