蒼い太陽
魔物の大きな瞳に自分が映っているのが見える。


そのまま、お互い固まっていると、今度はものすごい大きな音がした。


池に何かが落ちたような音だった。


今日は変な日だな…そう思い洞窟から出て音のした方へ歩いていくと、今度こそ本当に息を飲んでしまった。


目の前には何年かぶりに見る、人の姿があった。


相手もかなりびっくりしたようで、ずぶ濡れのまま目を思い切り見開いてパチパチさせていた。


どうしよう…おばあちゃん、人に見つかっちゃったよ…内心とても焦っていたが、相手にそれを悟られまいと表情を変えないようにした。


相手が何か喋ろうと口を開いたことがわかったが、思わず風を起こして地上まで返してしまった。


心臓がどくん、どくんと跳ねているのがわかる。


久々にみる人に動揺してしまっているのだ。


心臓の音がうるさい。

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